ISOコンサルタント:トップ > ISO9001取得支援 > ISO9001:2015発効
2015年9月、ISO9001:2015が発行され平行してJIS Q 9001:2015が11月に発行されました。今回の改定では「共通スキーム」が採用されたという事もあり、前回の2000年→2008年改定(実際は追補改正版)と比べ、15年ぶりの大幅な改定が加えられています。用語の定義も「曖昧さ」を回避し、より正確な理解及び審査のばらつきが少なくなるよう、84語から138語へと大幅に増えました。また、品質マネジメントの原則も「マネジメントへのシステムアプローチ」が削除され、8から7原則へ変更されています。さらに、サービス業にも適用しやすいように細かな点の改定やプラスアルファの要求事項の追加、組織の判断に委ねるなどの要求事項も多くなるなど、より組織の業務実態と併せる(実務に要求事項を組み込む)ために柔軟性も備えた改定といえます。 ISO9001:2015の更新、移行コンサルは是非当社へお任せください。
ISO9001:2015では実務整合を促すために品質8原則が改定(解かりやすく)されています。
ISO9001:2008までは要求事項が明示的でなく、審査員(審査登録機関)ごとに理解・解釈の仕方が異なり、本来は不適合とする要素を「不適合となる理由明確に無い」ことから「適合」と判断するなど、結果としてISO9001を認証している組織が事故や不祥事を起こし、ISO9001認証の価値について疑問の声が多く聞かれるようになりました。また、認証組織においても「認証を取得・維持するための文書の作成作業が多く、実施することでの有効性に疑問がある」との意見もあり、ISO認証制度の信頼性の低下が懸念されました。そこで今回のISO9001:2015規格改定では、その様な疑問の声を払拭するため規格要求事項を見直し、ISO9001認証制度の信頼性を向上させるために検討されたことが大きな背景としてあげられます。故に、システムやプロセスの評価だけではなく、そこから生み出される「結果・成果の評価」(システム・プロセスの有効性→アウトプット結果)を重要視する内容となっています。
【@規格の構造・表現の変更】
他のISOマネジメントシステム(ISO14001など)との規格間の整合性を図るため、8節から10節へ変更されています。また、「共通用語」及び「共通テキスト」(ISOマネジメントシステム要求事項全般における共通部分。共通テキストに分野固有の要求事項を追加したものが様々な分野のISOのマネジメントシステム要求事項となります)を採用することで、その他のISOマネジメントシステムとの統合や実業務との整合性の向上をはかりやすくなり、大幅な効率化を実現しやすいようになっています。
【Aリスクに基づく考え方(Risk Based Thinking)】
ISO9001:1994年度版「予防処置」の要求事項が追加されましたが、予防処置の役割や効果が曖昧でした。そのため「予防措置」が削除され、より徹底した形で実践するよう、より明確にリスクに基づく考え方を反映した6.計画の中の6.1リスク及び機械への取り組みが追加されています。リスクに基づく考え方のポイントとなるのは「リスクをゼロにする」のではなく、「リスクを考慮しプロセスを計画・管理する」事になります。
【Bトップマネジメントの責任の強化(リーダーシップ) 】
マネジメントシステム運用において、トップと現場とのかい離から発生する形骸化を防ぐため、トップマネジメントは常に現場から意見を吸い上げる仕組みを構築し、現場の状況を常に把握し、関心を持つことを要求されています。
【CQMSのパフォーマンスの評価
】
QMSの本来の目的は「結果の確保」ですが、その評価がISO9001:2008では十分に行われていませんでした。そこでISO9001:2015ではQMSの有効性とは別に「パフォーマンス評価」を9節で新たに設け、システム及びプロセスの「アウトプット」を重視しています。パフォーマンス評価では、製品&サービスのプロセスの「アウトプット」に対して組織が設定した目標を達成できたかどうか最も重要な要素となり、より実務と整合性を図れるように設けられた要求事項となります。
【D組織の知識の獲得・蓄積】
製品&サービスを提供する為のプロセスを確立するために「組織の知識」(実現可能な固有技術)を明確にする事が強化されています。規格の目的は、ITの普及や規制緩和により、企業の大小にかかわらずグローバルな事業展開での新たな分野への参入が今後多くなることが予想されるため、未経験領域でのトラブルをさける事を意図しています。
【E人に起因する不適合の防止を強化】
組織は、製品及びサービスの生産・提供において、守るべきルールを標準として定め、定着させる事で不適合(エラー)を最小限に食い止めようとしますが、意図しないうっかりミスや悪い習慣、慣れに起因するヒューマンエラーは中々手付かずになっていることが現状です。ISO9001:2015では、製品・サービス提供において新人や他部署からの応援なども考慮し、その様な不適合が発生しないように力量(適格性)の確保などを強化しています。
【F外部提供のプロセス、製品・サービス管理】
組織は、製品・サービスを生産・提供するため、様々な外部提供者と取引を行っています。8.5 製造及びサービス提供では、事故、トラブル防止のため購買、外注、委託を問わず、提供プロセス管理の方式と程度を定め、必要な検証を行い、外部提供者を適切に管理することを求めています。
【G文書化の緩和
】
ISO9001:2008では「文書」と「記録」を分けそれぞれの管理を求めていましたが、ISO9001:2015では「文書化された情報」として一つ要求事項にまとめられています。更に、「文書化された情報」は「必要な情報」のみ要求し、「必要な情報」についてはQMSの有効性の観点で組織が自由に判断することが可能で、「文書化された情報」に対する個別の要求事項が大幅に削減されています。これは、冒頭の改定の背景でふれたよう、ISO制度の信頼性向上をはかるうえでも大きく関与しており、過剰な文書化の要求に伴うQMSの形骸化を防ぐ事を狙ってのものです。ISO9001:2008ではISOの用語の「解釈の違い」により、国内では「文書化」する情報が審査機関により若干異なり、重要視される部分が異なることがありました。しかし、ISO9001:2015では組織の意識がISO9001の認証の維持ではなく組織のパフォーマンス向上に向かう事が期待され、より現状業務との整合を重視し、アウトプットのプロセスの有効性を評価しやすいように「パフォーマンス」を重視した喜ばしい改定であるといえます。当然、「品質マニュアル」の作成も要求されておらず、作る、作らないは組織が判断することになりますが、組織の規定、文書化の程度を考えた場合、作っておいたほうが効果的となります。
ISO9001:2015の根本にある考え方を乱暴な言い方にすると…
@ 規格ありきで考えてはいけない。自社の業務に規格を当てはめてなさい。
A 規格に対応させるだけの文書は作らず、必要な文書は自分たちで決定しなさい。
B「プロセス」ではなく「結果」を最重要視しなさい。
C 目標・目的達成を妨げる「リスク」は予め予測し、重要なものは事前対策しましょう。
D 目標・目的達成を後押しする「機会」を見逃さず、最大限活用しましょう。
E「個」の力量アップではなく、コミュニケーションを強化し「組織」の力を最大化しましょう。
という事になります。
今回の改定は、ISO9001の認証制度の信頼性を向上させることを最大の目的としています。ISO9001:2008ベースのQMS構築において、良い成果を出した組織もあれば、ISO9001認証・維持だけの活動に陥り無駄な文書や実務とかい離した活動を強いられ、ほとんど効果が無かった組織も存在します。そこで今回の改定では、まず、用語の定義を見直し、曖昧さを少なくすることで、審査機関や審査員の審査のばらつきを少なくするこが可能となりましたが、ある程度の曖昧さは依然として残ります。このため、ISO9001:2015でも用語や要求事項の解釈を少し変えると、その価値が大幅に変わってしまいます。もし審査機関がISO9001:2015改定の真意を理解せず、要求事項を表面的に満たしている組織をいままでのように認証すれば、表面上クリアすればよいという魅力的で簡単な解決策を提示することになります。しかし、その組織は従前、ISO9001認証・維持だけの活動に陥り、無駄な文書や実務とかい離した活動を強いられ続けることになります(実際に国内の審査機関では今回の改定において「大幅な改定である」と解釈する組織もあれば「あまり変化が無い」という組織も存在します)。それだけではなく、その様な審査機関への乗り換えが進むと結果としてISO9001認証制度の信頼性が更に低下することも十分考えられます。国内には、ISO運用代行のコンサル会社や形式だけで通過させる認証機関も存在しますが、労を惜しまず、今回のISO9001:2015改定の本質を理解してQMSを改定することで、組織活動における重要な成功要因である「顧客のニーズ・期待」を正確に反映した製品・サービスの提供が可能になり、組織の発展に大きく寄与していきます。
※ ISO9001:2015規格要求事項(2008年度版対比)はこちら
※ ISO9001:2015用語の解説はこちら
※ ISO9001:2015規格要求事項の解説はこちら
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